こんにちは、Takaです。
個人事業主といえば常に税金と戦っていると言ってもいいくらい節税に興味関心がある人ばかりです。
今回はそんな個人事業主が出来る最強の節税方法として、個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)についてメリットとデメリットを解説します。
企業年金連合会が発表しているデータによると、iDeCoの加入者数は年々増加しており、2020年3月末時点では約155万人となっています。
Table of Contents
個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)とは
個人型確定拠出年金 iDeCoは、「Individual Defined Contribution Plan」の頭文字を取って作られた造語です。
個人事業主やフリーランスは退職金や企業年金がありませんので、そういった人たちを支援し自分で老後の資金を準備できるように制度設計がされています。
iDeCoの加入することで、毎月自分で決めた金額を拠出して運用することで、60歳以降になった時に受け取りが開始出来ます。
また毎月の掛金は全額所得控除にできるので、節税効果も非常に高い事から個人事業主に人気を集めている制度です。
日本の年金制度についておさらい
iDeCoをより理解するために日本の年金制度について簡単におさらいします。今回は個人事業主に特化した内容で解説しています。
上記の図は個人事業主とフリーランスの場合の年金の全体図を表したもので、個人事業主などの年金は2階建てと言われています。
【個人事業主の年金は2階建て】
1階 ⇒「国民年金」全ての国民が加入し国が運営を行う。
2階 ⇒「国民年金基金」と「個人型確定拠出年金(イデコ)」で加入は任意で行う。
ちなみに会社員の場合は全部で3階建ての年金制度となり、2階部分に「厚生年金」が加わりますが、今回は個人事業主や法人向けの解説なので省略しています。
iDeCoが国民年金と大きく違うところは、iDeCoの加入は任意でする事です。金融機関などで口座を開設して自分で金融商品を選ぎ運用することになります。
iDeCoの口座で「資産運用」をする
iDeCoは老後の資産形成を目的とした制度で、金融商品の選択や運用は自分の責任において行う事になります。
「投資」や「資産運用」に慣れていない人にとってはハードルが高いかも知れませんが、iDeCoの口座で購入できる商品には元本が保証されている「定期預金」や「保険商品」も存在するので、リスクを取りたくない人にとっても安心して始められます。
iDeCoに限らず全ての資産運用に言える事ですが、金融資産はリターンが高いとリスクも高くなる傾向にあります。
自分のリスク許容度に合わせて賢く運用する事で、ある程度の運用収益(リターン)を期待することができます。
① 定期預金・保険商品 ⇒元本が保証されており、リターンはほとんどなし
② 国内・海外債券の投資信託 ⇒リスク低い、リターン低い
③ 国内・海外株式の投資信託 ⇒リスク高い、リターン高い
④ 国内・海外REIT(不動産)の投資信託 ⇒リスク高い、リターン高い
長期的により大きいリターンを狙いたい方は、株式やREITの投資信託を選択して積極的に運用する事も出来ますが、この場合は元本は保証されないため損失を出してしてしまう事もあるので注意が必要です。
その一方で「定期預金」や「保険商品」などは元本が保証されていてため安心ですが、その分のリターンも小さく将来大きく資産が増える事は望めません。
投資信託と定期預金の中間くらいの位置付けとして「債券」がありますが、債券も運用による元本が保証されてはいませんが、比較的安全性が高い資産だと言われており、少ないリスクでコツコツ運用するには最適だといわれています。
これらの金融資産からどの資産をどのくらい積み立てて運用するかを自分で決めて、長期的に運用できるのがこの制度の特徴です。
iDeCoで購入できる金融資産、特に投資信託については長期投資に向かない商品というのが存在しているので、どの金融商品を選べば良いのかについては後ほど詳しく解説します。
運用期間と受取期間
iDeCoは20歳から60歳になるまで加入する事ができるようになっており、加入期間においては基本的に掛金を毎月積み立てて運用をしていく事になります。
現在の運用期間と加入期間は以下のようになっています。
受取開始が出来るのが60歳からとなっていますが、加入期間が10年に満たないと60歳から受け取る事が出来ません。
例えば、55歳からiDeCoに加入して運用したとしても60歳からは受け取りが出来ず、10年後の65歳からの受取りが原則となっています。
10年以上の加入期間がある場合は受け取り開始を遅らせる事が出来て、60歳まで運用して70歳で受け取る事といった選択をする事が可能です。
その間の10年間の間は掛金は入れずに運用だけを行うようになります。受取り期間の繰り下げが出来るメリットは、受け取る直前で株価暴落などによって資産が大きく減少した時に、すぐに受け取らず回復するのを待つという選択をすることができます。
iDeCoは2022年4月に法改正される
iDeCoは2022年の法改正によって加入可能の期間が65歳までに延長になったり、受け取り開始期間も現行の70歳から75歳に延長になる事が計画されています。
いま分かっている情報だと加入期間と運用期間は以下のように変更になります。
この背景には日本人の平均寿命が延びている事や、歳を重ねても健康な人が多くなっているため、働く人の年齢も高齢化していくと予想しての法改正となり、iDeCo利用者にとっては歓迎すべき変更になる予定です。
今回はかなり省略して解説してあるので、もっと詳細が知りたい方や最新情報についてはiDeCoの公式サイトで確認をするようにしましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット
iDeCoの最大の特徴はなんといっても「節税効果が高い事」ですが、各節税のメリットについて解説していきます。
- 掛金が「所得控除」にできる
- 運用益が非課税になる
- 受取り時に優遇税制を受けられる
- 自己破産しても差し押さえされない
- おまけ「結局iDeCoでいくら節税になるの?」
メリット1、掛金が「所得控除」にできる
iDeCo口座に毎月積み立てをする掛金については全額所得控除に出来るので、非常に高い節税効果が期待できます。
特に日本の税金の仕組みにおいては、所得が多ければ多いほどは納める税金も多くなるという構造になっているため、iDeCoの節税効果は個人事業主にとって大きなメリットとなります。
上の図のように、売上に対して控除額が増えれば増えるほど課税所得が減るので、最終的には納める税金を少なくすることが出来ます。
例えば課税所得が250万円の40歳の個人事業主で、毎月の掛金を20,000円にしている場合、1年間で約48,000円もの節税になります。
これを20年間継続して60歳になる頃には48,000円×20年間なので、合計で960,000円の節税になることになります。
掛金を多くすればその分だけ節税効果もより高まるので、この制度をうまく活用すればかなり大きなメリットとなります。
楽天証券のiDeCo節税シミュレーションのリンク⇩
https://dc.rakuten-sec.co.jp/feature/simulation/
メリット2、運用益が非課税になる
iDeCoの運用によって得られた利益は非課税になる事も大きなメリットです。
通常、証券口座で株式や投資信託などの売買によって得られた利益には20.315%の税金が掛かります。(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)
iDeCo口座を利用だけで利益が全て非課税となるメリットが受けられるので、長期的に運用すればするほど効率的に利益を出せる事になります。
上記のグラフは、最初に100万円を投資して20年間運用した場合、利益に毎年20.315%課税した時と非課税の時にどれくらい差が出るかを表したグラフです。
その結果は明らかで、20年後には非課税の方が150万円ほどの利益が大きいという結果になっています。
実際のiDeCoは上記の例のような一括で投資を行うのではなく、毎月少しずつ積み立てて投資をしていくことや、運用結果は株価などの市場価格で常に変動しているので、全く同じような結果になる事はありませんが、税金分の20.315%が非課税になる事がどれほど大きいメリットかは理解できると思います。
メリット3、受け取り時に優遇税制を受けられる
現状のiDeCoの制度では、運用したお金を原則60歳から受け取り可能となっていますが、受け取り時には「退職金控除」や「公的年金控除」などの税制優遇が受けられるようになっています。
退職所得控除の計算式のイメージを理解するために、分かりやすくしたのが以下の図です。
さらに上記の計算をするために重要になるのが「退職所得控除」ですが、下記が退職所得控除を求める時の計算式で、iDeCoの加入年数によって2パターンが存在します。少し複雑な計算が必要になります。
上の図のように、まずはiDeCoの加入年数が「20年以下」か「20年を超える」かで退職得所得控除の金額が変わります。
下の式に自分に当てはまる金額を代入すると、課税所得までが求められます。
課税所得 = {iDeCoの資産額 −(40万円 × 加入年数)}/ 2
課税所得 = {iDeCoの資産額 −(800万円 ×(加入年数−20))}/2
退職所得控除や課税所得の計算の流れとしては、iDeCoで運用した資産残高からこの控除額をまずは差し引き、その後さらにその金額を半分にして「課税所得」が決まります。
この課税所得に所得税と住民税を合わせた税率(20.315%)が掛けられます。
ここで計算された課税所得に対して、さらに税率ごとの控除を引いた金額に所得税の税率が掛けられます。
課税所得の金額と税率をまとめたのが以下の図です。
納める税金 = 課税所得 × 所得税率 − 控除額
例えばiDeCoに20年間加入した個人事業主が60歳の時に一時金として1,000万円を受け取る場合、所得税として課税されるのは約5万円となります。
5万円は大金ですが、長期で運用して得た1,000万円に対して5万円の納税であればかなりお得な節税効果がある事が分かると思います。
ただし、これはあくまでも60歳以降に一括で受け取る場合の計算式です。
分割で受け取る時はまた違う計算式が適用されますが今回は割愛します。
メリット4、自己破産しても差し押さえされない
iDeCoで運用した資産は万が一自分が自己破産した場合でも「確定拠出年金法」で守られるようになっています。
万が一事業で上手くいかず、多額の借金によって自己破産し財産を差し押さえられるような場合でも、iDeCoの資産は差し押さえる事が出来ないようになっているため、かなり強力に守られている資産をいえます。
借金や自己破産という最悪なケースはあまり想像したくありませんが、このような場合でもiDeCoの資産は守られるので安心です。
おまけ「結局iDeCoでいくら節税になるの?」
iDeCoは「積立時」「運用時」「解約時」の3つの時で節税効果が高いという事を解説してきましたが、積立時と運用時で実際にどのくらいの節税効果があるのかいくつかのケースを紹介します。
ちなみに普段私は個人事業主向けの記事を書いていますので、今回は個人事業主に特化してシミュレーションしています。
個人事業主以外の会社員や公務員の方は、楽天証券のiDeCo節税シミュレーションから詳しい金額を知ることが出来ます。
【ケース1】
年齢:27歳
年間課税所得:300万円
毎月のiDeCo掛金:25,000円
運用利回り:年間3%で想定
【節税額】
積立時:年間節税額=60,000円
60歳までの運用時:トータルの節税額=約1,400,000円
【ケース2】
年齢:35歳
年間課税所得:500万円
毎月のiDeCo掛金:50,000円
運用利回り:年間3%で想定
【節税額】
積立時:年間節税額=180,000円
60歳までの運用時:トータルの節税額=約1,460,000円
【ケース1】
年齢:47歳
年間課税所得:1,000万円
毎月のiDeCo掛金:68,000円
運用利回り:年間3%で想定
【節税額】
積立時:年間節税額=350,880円
60歳までの運用時:トータルの節税額=約470,000円
所得が増えるほど、また毎月の掛金が増えるほど、年間の節税額が大きくなることが分かります。
また、運用期間は長いほど複利の力で資産が増えていき、それに伴い節税の効果も増していくので、iDeCoの加入を検討する場合は長期的な視点で考えるとと良いと思います。
自分の節税額を知りたい方は楽天証券のiDeCo節税シミュレーションをご活用ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のデメリット
iDeCoは節税メリットが大きい事が特徴ですが、デメリットも存在するので、これについても解説します。
- 受け取りは60歳以降からしかできない
- 投資信託は自己責任で運用する
- 毎月の掛金が68,000円まで(個人事業主の場合のみ)
- 受取り時にまとめて課税される
- 口座管理の手数料が毎月掛かる
- 口座開設から運用までの手続きに日数がかかる
- 「特別法人税」が凍結解除されるリスクがある
iDeCoはデメリットを気にして加入を控える人もいるので、しっかり理解しておきたい部分です。
デメリット1、受け取りは60歳以降からしかできない
iDeCoで毎月積み立てして運用している資産は原則60歳まで引き出しする事が出来ません。
もし運用の途中で事業資金が苦しくなりiDeCoからお金を引き出そうとしても、一度iDeCo口座へ拠出したお金は60歳まで引き出す事が出来なく、出来る事としては毎月の掛金を一時的に止めるという事だけです。
一時的に拠出を止めた場合も保有している資産の運用だけ継続はされるので、拠出の停止中も今の資産が増えたり減ったりすることもあります。
また、毎月の掛金の額を変更したければい年に1度だけ掛金の変更は可能ですが、最低拠出金額は5,000円から1,000円単位での設定となっているので、5,000円でも拠出が厳しいという場合は一時停止をする方が良いと思います。
個人事業主でiDeCoを始めようと考えている人は、生活に無理のない範囲で掛金を決める事はもちろんの事、事業資金がショートしないように慎重にiDeCoへの加入を検討する必要があります。
デメリット2、投資信託は自己責任で運用する
iDeCoで購入できる金融商品は、拠出した元本が保証されている「定期預金」や「保険商品」と、リスクを取りながらお金を増やす「投資信託」があり、どちらかもしくは両方を自分で選んで運用します。
投資信託は基本的にリスクが高いので、運用によっては自分が拠出したお金よりも最終的に受け取る金額が少なくなる可能性があります。
iDeCoで購入できる商品の中には「アクティブ・ファンド」と呼ばれる長期的な運用に向いていない商品も含まれているので、ある程度は購入する商品の見極めが必要になってきます。
とはいえ正しく商品を選択し、金融庁も推奨している「長期・分散・積立」を徹底して行うことでリスクを低減しながらも、経済の成長に合わせてiDeCoの保有資産の増加の恩恵を受ける事が期待できます。
多くの日本人はリスクに怯えるあまりに元本が保証されている商品を選びがちですが、長期的に見るとリスクを取って運用した方が結果的に高いリターンを出す事が過去のデータからも分かっています。
デメリット3、毎月の掛け金は68,000円まで(個人事業主の場合のみ)
iDeCoに拠出する掛け金には、会社員やフリーランスなどの立場によって違います。
以下の図はiDeCo公式ホームページの抜粋ですので、自分がどれに当てはまるのか確認する事が出来ますが、個人事業主や自営業者の方であれば「第1号被保険者」となり、毎月の掛金の上限額は68,000円と決められています。
個人事業主や自営業者は会社員と比べても年金制度が手厚くないので、その代わりiDeCoの掛金の上限が高く設定されています。
積み立て金額に上限がある事をデメリットとした理由は、個人事業主は節税について非常に強い関心をもっているので、もっと掛金を出してでも節税しながら資産運用をしたいため「上限を増やして欲しい」という要望もあるようです。
毎月68,000円の掛金という事は年間で最大816,000円の積み立てになるので、かなり稼いでいる個人事業主の方は少し物足りないと思う人も一定数はいるのかも知れません。
デメリット4、受け取り時にまとめて課税される
税金面では非常に優れているiDeCoですが、受け取り時にはまとめて税金が掛かります。
メリットの項でも解説しましたが、受け取る時には「一時金」として全額一括で受け取るパターンと、「年金」として毎月少しづつ受け取る場合で税金の金額は変わってきます。
iDeCoの加入年数によっても「20年以下」か「20年を超える」かのどちらかの期間で、受けられる税金の控除額が変わってくるので、自分の人生設計を考慮した上で判断する事が求められます。
iDeCoの加入期間が「20年以下」と「20年を超える」では、「20年を超える」期間で運用した方が節税のメリットはかなり大きくなります。
すこし話は逸れますが、日本は超高齢化社に突入していく中で退職する年齢もさらに高齢化しており、これによって定年退職する年齢が60歳から65歳に引き上げられたり、雇用延長して70歳まで働く人も増えています。
日本の年金制度に関しては、今後も法改正などによって大きく変わる事が予想されており、それによって対象となるiDeCoや年金に関する税金の制度も変わるかも知れません。
現在ではiDeCoの受け取り時には税制優遇がありますが、将来は日本の年金制度そのものがどのように変わるかは、私たちでも想像出来ないので、この点についてはiDeCoの持つリスクと考えておきましょう。
デメリット5、口座管理の手数料が毎月掛かる
iDeCoに加入するために銀行や証券会社などの金融機関で口座の開設が必要になりますが、加入者には口座に掛け金を入金するごと(毎月ごと)に数百円の手数料が掛かるところがほとんどです。
金融機関によっては「運営管理手数料」という費用が数百円程度掛かる場合もり、金額は小さいとはいえ長期間の運用においては大きな差になる場合もあるので、この手数料に関しては事前に調べておくなどしてしっかり把握しておく必要があります。
デメリット6、口座開設から運用までの手続きに日数がかかる
iDeCoに申し込みをしてから実際に運用が出来るようになるまでには、1~2か月の期間がかかると言われています。
その理由は、iDeCoを運営している機関が国民年金基金連合会へ書類を郵送し、内容を確認するなどの手続きによるものです。
最近多くの人が利用している「NISA」は、せいぜい2週間もあれば口座開設と運用開始が出来ますが、iDeCoの場合は運営・管理主体が違うので日数がかかるという点を考慮した上で、早めの申し込みをするのが得策です。
ちなみに会社員と公務員がiDeCoを始める場合は、もっと日数がかかるといわれており、所属している会社や組織団体から証明書などの書類を準備してもらう必要があります。
まずは証券会社から郵送される書類を持って総務部へ行き、この証明書の記入をしてもらう必要があり、会社員にとっては会社にこれらを依頼する事が気苦労になる人も多いため、iDeCoを始めるのに躊躇してしまうケースもあるようです。
デメリット7、「特別法人税」が凍結解除されるリスクがある
iDeCoのデメリットのひとつとして、1962年に誕生し現在は長期にわたり凍結されている「特別法人税」という税金制度の存在があります。
iDeCoを掛金と運用益は非課税になるとうメリットがありましたが、この特別法人税がいつか再び施行された場合、イデコの口座の資産に年1.173%の税金が発生する事になるようです。
この税金制度は現在「凍結」となっているだけなので、将来的に復活する可能性はありますが、専門家などの意見では凍結は解除されないであろうという見解もあります。
しかし、この凍結が解かれた場合はiDeCoの加入者にとってかなり大きいデメリットとなる事は間違いありません。
その理由は、iDeCoはもともと60歳まで資金を引き出せない制度なので、対応策としては積立を止めて運用だけを行う方法がありますが、特別法人税は資産に対して毎年課税されるので、運用が上手くいかない場合は、課税だけされながら資産が目減りするという事も十分に考えられるためです。
「特別法人税」の存在は、これといって対応策が無いため今すぐに何かを心配する事ではないですが、頭の隅に置いておく程度でいいと思います。
iDeCoの商品選びのポイント
iDeCoを運用するにあたってどんな商品を選べば良いか、商品選びのポイントを解説します。
- リスクを取って資産を増やしたいのであれば、国内・海外の投資信託を多めに購入
- 安全に運用したいならば、国内・海外の債券を多めに購入
- 絶対に資産を減らしたくないのであれば、定期預金か保険商品を購入
今回、解説する商品選びの前提となるのは「ある程度リスクを取って、長期的に高い運用成績を狙いたい。」という方へ向けた解説となります。
「投資は怖くてできない」「絶対に損はしたくない」という人は、元本が保証されている「定期預金」や「保険商品」の選択をおすすめしていますのでその点はご理解ください。
iDeCo口座で投資信託を選択する時に重要なポイントは以下の3つに該当する商品です。
・全世界株式か全米株式の指数に連動するインデックスファンド
・ノーロード(購入時の手数料0円)の商品
・信託報酬(運用手数料)が年0.1~0.2%の商品
上記3つを全て満たす投資信託であれば、長期的に運用する事である程度の資産は築くことが期待できます。
ちなみに手数料などを考慮した場合、iDeCo口座を開設するには銀行や証券会社の窓口ではなく、ここ数年で急激にシェアを伸ばしているネット証券がおすすめです。
全世界株式か米国株式の指数に連動するインデックスファンド
「インデックスファンド」とは、株価指数に連動した投資信託の事で、長期的に高い成績を出している商品も多いのが特徴です。(パッシブファンド)
株価指数とは「日経平均株価」「TOPIX」「S&P500」「NYダウ平均」「MSCIコクサイ」など、日本や世界の株価の状況を示す指数のことです。
私がおすすめするインデックスファンド以外に「アクティブファンド」という種類の投資信託があります。
このファンドは指数以上の成績を出すために、プロのファンドマネージャーが積極的に株価を売買したりして利益を出す商品のため、一見アクティブファンドの方が成績が良いかと飛びつきたくなりますが、長期間では多くのアクティブファンドの成績がインデックスファンドに勝てなかったというデータもあります。
インデックスファンドは指数に合わせて機械的に運用をしているだけのシンプルな方法ですが、実はこれだけでアクティブファンドよりも有利になる事が分かっています。
iDeCoは長期運用になるので、欲張らずに大人しく「インデックスファンド」一択で運用する方がおすすめです。
「全世界株式」と「米国株式」に投資出来る有名な指数(インデックス)は以下の通りです。
- S&P500:アメリカの大手500社に投資
- ナスダック100:アメリカのハイテク大手100社に投資
- MSCIコクサイ・インデックス:全世界22ヵ国(日本を除く)の上場企業の約1,300社に投資
- FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス:全世界の約9,000社に投資
上記の指数に連動する投資信託であれば、まず失敗する事は少ないと言えます。
ただし、2020年2~3月に新型コロナウイルスの影響によって起きた「コロナショック」によって世界の株価が暴落した時のように、長期間の運用ではこういったリスクがある事も頭に入れておく必要があります。
ノーロード(購入時の手数料0円)の商品
iDeCoで購入できる商品には購入時に手数料が掛かる商品があります。
一方で近年では「ノーロード」という「購入時手数料」と「売却時手数料」が掛からない商品もあるので、これらの手数料が掛からないものを買うのがおすすめです。
今後、投資信託などの投資商品を購入する時に気を付けなければいけない事は、多くの手数料を支払ったからといって、運用成績が良くなる事はないということです。
特に積み立て型の生命保険に加入している人ならば分かると思いますが、保険では基本的に掛金が多くなれば保証も手厚くなるという事が一般的です。
しかし、投資信託は保険などの商品とは性質が全く異なり、掛金とリターンは比例しないので、この概念は一度捨ててしまったほうが良いと思います。
購入時に手数料が発生する投資信託は今でもかなり多く見られますが、長期的な視点で見るとこの手数料が運用益に与える結果の差は非常に大きくなります。
近年の投資信託はノーロード商品が多く存在しているので、iDeCoで購入する際には購入時の手数料が掛からない商品を選ぶようにしましょう。
信託報酬(運用手数料)が年0.1~0.2%の商品
投資信託を運用する時に発生するコストが「信託報酬」です。
投資信託はまとまったお金をファンドマネージャーが運用する仕組みで成り立っていますが、信託報酬は運用をお願いする際の証券会社や管理会社への報酬となります。
前項で解説した「購入時手数料が0円」という商品がたくさんありますが、信託報酬に関しては運用している時、つまりその商品を保有している間はずっと発生するコストであり、今のところ信託報酬が0円という商品は存在していません。
そのため、同じ指数に連動する同様のインデックスファンドを比較する時でも、出来るだけ信託報酬の低い商品を選ぶ方が賢い選択といえます。
上のグラフは、どちらもS&P500に連動するとあるファンド2つを比較したチャートですが、ファンドAは信託報酬が年0.0968%なのに対して、ファンドBは信託報酬が年0.6050%と6倍以上のコスト差があります。
運用結果を見ると成績が明らかに差が開いており、ファンドAの方が成績が良いという事が分かります。
このように信託報酬の差が長い目で見れば運用成績に大きな影響を与える事が分かります。
投資信託を選ぶ際の信託報酬の基準としては、年0.1~0.2%代の商品を選ぶと失敗する確率はかなり低くなります。
商品によってはほとんど同じインデックスファンドにも関わらず、名前が違うだけで信託報酬が1~3%とかなり高めの設定をしている商品もあります。
もし、どうしても魅力的な商品があってその商品を購入したい場合は、信託報酬は高くとも0.5%程度の商品を選ぶようすると良いでしょう。
まとめ
最後にiDeCoのメリットとデメリットをおさらいします。
- 受け取りは60歳以降からしかできない
- 投資信託は自己責任で運用する
- 毎月の掛金が68,000円まで(個人事業主の場合のみ)
- 受取り時にまとめて課税される
- 口座管理の手数料が毎月掛かる
- 口座開設から運用までの手続きに日数がかかる
- 「特別法人税」が凍結解除されるリスクがある
- 受け取りは60歳以降からしかできない
- 投資信託は自己責任で運用する
- 毎月の掛金が68,000円まで(個人事業主の場合のみ)
- 受取り時にまとめて課税される
- 口座管理の手数料が毎月掛かる
- 口座開設から運用までの手続きに日数がかかる
- 「特別法人税」が凍結解除されるリスクがある
最大のメリットは節税が出来るということですが、その一方で一度入金したお金が原則60歳からしか引き出せないなどのデメリットがある事を解説しました。
iDeCoは自分の年金を準備する目的で作られた制度なので、長期的な視点で人生設計をして加入するかどうかの検討をすると良いと思います。
iDeCoについてもっと詳しく知りたい方や、加入を検討している方はiDeCo公式ホームページを参照してみると良いと思います。
また、私は個人事業主やフリーランス向けのコンサルタントを行っていますので、仕事を探している方や節税方法を知りたい方は気軽にコンタクトフォームへ連絡をください。
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